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連綿とつづく窯の通過点に

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photo by Shino Chikura

父・雅章さんの窯のとなりに、息子・貴澄(たかすみ)さんが窯をつくるのだという

もう、それだけでなんだか胸が熱くなる。そして私たちは図々しくも「お手伝いをさせてください!」と、柴田さん親子に申し出たのだった

この窯で柴田さんが作陶を続けて40年。瀬戸から窯をつくる職人さんがやってきて、柴田さんご本人(帽子の君)とともにつくりあげた窯の、当時の姿を見せていただくことができた

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「これと同じ写真、撮ってみましょうよ!」。これからはじまる作業の大変さもわからない私たちは、朝8時の集合時間から、すでにとてもワクワクしていた

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左が長男の貴澄さん、真ん中奥が柴田雅章さん、そして右手は〝篠山といえば〟の吉成さん

ひとときのお楽しみを終えたところで、作業の話に入ろう。
8時に集合した私たちは、まずこの積み上げられている石を運ぶ作業からはじめた。窯場から軽トラで、家のすぐそばの薪置き場へ向かう。シートに覆われた石の山。どこかの窯で使われていた石で、合いそうなものを各方面からかき集めて使う。窯を構成する石でさえ、焼きあがりに違いが出るのだというし、そばに重ねられた薪たちも、木の種類や質によって丁寧に分類されていた。薪は、焼き物を窯で焼く〈窯焚き〉で用いるものだが、窯のいくつもある空間の、どこの場所ならどんな火力が必要で、そのためにはどういう木材が適していて……という話を、息子の貴澄さんから教えていただいた

「こりゃ、手伝う!なーんて、うっかりしたことを言ったものだ」と思ったが、つべこべ言わず、目の前の石の山を攻略するのみ。大の男三人に女二人は、次第に無言になるほどこの石の一つひとつが……重っ! かの吉成さんもこのとおり、歯を食いしばっている様子がうかがえる

0202_shibatake04ずっと大切に使われていた石なので、もろさもある。ゆえに、取り扱いも丁寧に。軽トラの荷台一面に一段、いっぱいに積んだら窯のもとへ運び、そこでもまた、バケツリレーのようにして窯の上の方へと運ぶ。みんな、ほんの2時間で、へとへと

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柴田さん親子は個展と個展の合間に、もちろん作陶も進めながら、日々の行い同様にこの作業を、ふたり静かに進めているのだというから、本当に敬服してしまう。10時の中国茶&ドライフルーツ休憩をはさんだ午前中いっぱいと、午後の少しの時間までの作業は終始、この〝石を運ぶ〟作業で終えた(それでもまだ、石は小さな山のまま残っていた)

0202_shibatake05本当に図々しい話にも聞こえますが「お手伝いします!ご飯付きで」と、柴田さん家のお昼ごはんもお目当てにしていた私たち。念のためお伝えしておくと、今回の訪問もお手伝いも、目的としては冊子をつくるためのリサーチ……柴田さんがつくる器が、柴田家でどう使われているのか。お台所もとても気になっていたから、女性陣はご飯の仕度のお手伝いも(ほんの少し)させていただいりして、ご家族と一緒に、とても美味しく楽しく、お昼をいただいた

8月の暑い日だったので、冷やしうどんに、庭から採ってきたみずみずしい三つ葉。野菜にネギに、雑穀ごはんは食べやすいおにぎりにして。そして、食後のフルーツと中国茶も、しっかりと

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「これだけ手伝ってもらって、おかげで助かりました」。ただ石を運ぶに終わってしまったけれど、柴田さん親子にかけてもらったその言葉は、私たちの背中をやさしく押してくれた

この日のことは、父から子へと伝わる窯の、未来へつづいてゆく歴史のほんの一日のできごと。これから数十年、柴田家とともに歩んでゆく窯にとって小さな通過点にすぎないのだけれど、私たちはその大切な伝承のおはなしの、わき役の一人になれたような気持ちで、篠山の次なる人に会いに向かった

柴田雅章さんの個展は、いよいよ明日、2月3日(水)よりはじまります
東京は日本橋三越にて9日(火)まで
息子さん、奥さま、そして娘さんにもお会いいただけるはずですよ

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